この記事は、水産仲卸の現場で使われている販売管理システム Sabaku の開発チームが、実際の導入・運用をもとにまとめています。
この記事の要点
- 伝票の間違いは「元を書き換える」のではなく「訂正を後から足す」で残すのが基本。元の記録が消えないので、いつ・誰が・何を直したかを後から追える。
- 締め済み・請求済みになった伝票は、直接編集・削除できない。修正するには新しい訂正伝票を起こす(append-only を強制)。まだ締めていない訂正伝票は、その対象日の分をまとめて直せる。
- 訂正伝票は計上日(今日)と「どの過去営業日を直したか」の対象日を分けて持つ。だから日報・締め・請求は計上日で集計され、対象日は履歴・帳票の絞り込みに使える。
- 減額(赤伝)は専用の伝票種別ではなく、訂正伝票の中のマイナス数量の行で表す。元+訂正(マイナス)=差引後が一続きで残る。
伝票を間違えたとき、元の数字を上書きして直していないでしょうか。上書きは手早いですが、 後から「元はいくらで、どこを直したのか」が分からなくなります。取引の記録は、元を書き換えず、訂正を後から足して残すのが基本です。締め済み・請求済みの伝票は直接編集・削除できず、新しい訂正伝票を起こす 形になります(締める前なら対象日の分を直せます)。
なぜ「書き換え」ではダメなのか
元の伝票を上書きすると、取引の証跡が消えます。締め・請求・税務では「その時点でいくらだったか」を後から説明できることが大切で、 元の金額が残っていないと、訂正前後の差額の根拠が追えません。だから、間違いは元を 消さずに、訂正伝票を足して差し引くのが安全です。元と訂正の両方が残るので、差引後の正しい金額と、その経緯が同時に見えます。
締めたら「追記」で直す(append-only)
Sabaku では、締め済み・請求済みになった伝票は直接編集・削除できません。この場合は、新しい訂正伝票を起こして差額を足します(システムが追記型を促します)。 一方、まだ締めていない訂正伝票は、その対象日の分をまとめて直せます。つまり「締める前は直せる、締めた後は追記」という線引きです。締めや請求で数字が確定 した後に元を書き換えられてしまうと帳簿の整合が崩れるため、この段階で追記型に切り替わり ます。締めの負担を平準化する考え方は締め業務を月末に集中させない設計で扱っています。
計上日と対象日を分ける
訂正伝票は、いつ直したか(計上日=今日)とどの日を直したか(対象日)を分けて持ちます。だから、今日の締め・請求・日報は今日の計上日で動き、対象日は履歴で 「この過去営業日の訂正」として絞り込めます。過去の営業日を直しても、当日の帳簿の 日付がずれない——これが計上日と対象日を分ける狙いです。
赤伝とは:マイナスの行で「減額」を表す
赤伝とは、いったん計上した売上・仕入を後から減らすための訂正のことです。伝票を赤字で書いて減額を示した紙の慣習に由来する呼び方で、返品・数量違い・ 単価違いなど「減らす」訂正をまとめて指します。
Sabaku では、この減額(赤伝)を専用の伝票種別として別に起こすのではなく、訂正伝票の中にマイナス数量の行を入れて表します。マイナスの行は「空の行」ではなく減額訂正の正規の入力として扱われ、元の売上(プラス)と 訂正(マイナス)が同じ流れで残ります。返品・数量違い・単価違いなど、減らす訂正はこの マイナス行で表現します。売上だけでなく、仕入・残品・レジの売上にもそれぞれ訂正の入口が あります。
履歴で「誰が・いつ・何を」を残す
訂正の記録は、訂正履歴・伝票/明細履歴に残ります。いつ・何を直したかがたどれ、当時の値は伝票にスナップショットとして保持 されるので、後から元の金額も確認できます。元を消さずに積み上げる残し方だからこそ、 監査や問い合わせに「記録で」答えられます。
まとめ
赤伝・訂正伝票の正しい残し方は、元を書き換えず、訂正を後から足す(append-only)ことに尽きます。締め済み・請求済みの伝票は直接いじれず新しい訂正伝票を起こす、赤伝は マイナスの行で表す、計上日と対象日を分ける——この 3 点で、正しい差引後の金額と、その 経緯の両方を記録に残せます。実際の画面は機能一覧で確認できます。
Sabaku ではどうなるか
Sabaku は締めた伝票を書き換えず、赤伝・訂正を追記として残します。売上訂正・仕入訂正の履歴が伝票ごとに積み上がるので、あとから「いつ・何を・いくら直したか」をたどれます。
訂正・履歴の画面を見るよくある質問
Q. 間違えた伝票は、元を直せばいいのでは?
A. まだ締めていない訂正伝票なら、その対象日の分をまとめて直せます。ただし締め済み・請求済みになった伝票は直接編集・削除できず、新しい訂正伝票を起こして直します(append-only)。元の記録を消さずに残すためです。
Q. 赤伝は専用の伝票ですか?
A. いいえ。減額(赤伝)は、訂正伝票の中にマイナス数量の行を入れて表します。専用の伝票種別ではありません。マイナスの行は減額訂正の正規の入力として扱われ、元(プラス)と訂正(マイナス)が同じ流れで残ります。
Q. 訂正すると日報や締めの日付がずれませんか?
A. ずれません。訂正伝票は計上日(今日)と対象日(直した過去の営業日)を分けて持つので、日報・締め・請求は計上日で動き、対象日は履歴の絞り込みに使えます。過去の営業日を直しても当日の帳簿の日付は動きません。