この記事は、水産仲卸の現場で使われている販売管理システム Sabaku の開発チームが、実際の導入・運用をもとにまとめています。
この記事の要点
- レジの現金が合わない(差異)原因は、準備金・現金売上・回収・支払などの記録漏れ。
- 差異=実査(数えた現金)− 理論値。理論値は準備金・現金売上・回収・支払などから自動で計算される(レジの取り分け・繰入なども含む)。
- 毎日締めれば差異はその日のうちに小さく特定できる(後日まとめてだと原因が消える)。
- レジ締め(現金実査)で理論値と実査を突き合わせられる。
店頭・対面で現金を扱うレジでは、「数えた現金が理論値と合わない」差異がつきものです。 差異は式で分解すると、どこの記録が抜けているかを切り分けられます。
なぜ現金が合わなくなるのか
現金が合わなくなる原因は、理論値を作る 8 項目のどれかが記録から漏れることです。理論値は次の 8 項目を符号どおりに足し引きして計算されます。
| 項目 | 符号 | 中身 |
|---|---|---|
| 準備金 | + | 朝にレジへ入れた釣り銭。 |
| 現金売上 | + | その日に現金で受けた売上。 |
| 回収 | + | 得意先から現金で受け取った入金。 |
| 支払 | − | 仕入・経費の現金支払。 |
| 取り分け | − | 翌日以降の支払いに使うためレジから抜いた分。 |
| 繰入 | + | 以前取り分けた現金を、使う日にレジへ戻した分。 |
| 持ち出し | − | 集金担当へ一時的に持ち出した現金。 |
| 返却 | + | 持ち出した現金がレジへ戻った分。 |
締め差異は実査(数えた現金)− 理論値です。上の 8 項目のどれか一つが漏れると、その分だけ実査と理論値がズレます。
理論値 = 準備金 + 現金売上 + 回収 − 支払(+ レジの取り分け・繰入、集金の持ち出し・返却なども含む)
数字で見るとこうなる
たとえば、朝の準備金(釣り銭)が 3 万円。その日に現金売上が 12 万円、得意先からの現金回収が 2 万円、仕入・経費の現金支払が 1 万円あったとします。理論値は 3 + 12 + 2 − 1 =16 万円。ところが締めで数えた現金(実査)が 15 万 8 千円なら、差異は−2 千円——理論より 2 千円足りない、ということが式で分かります。金額の 大きさから「どの取引が抜けていそうか」の当たりもつけられます。
支払い用の取り分け・繰入も理論値に入る
現金は、その日の中で完結せず日をまたいで動きます。翌日以降の支払いに使うぶんをレジから 取り分けた日は、その分を理論値から引きます(取り分け)。以前取り分けたぶんを実際に使う日に レジへ戻したら、その分を足します(繰入)。集金担当へ一時的に持ち出した現金と、その返却も 同じように理論値に反映されます。ここを式の外で手作業にすると差異の原因になりやすいので、 取り分け・繰入もレジ締めの中で記録します。
差異が出たら、まず確認する主な項目
差異が出たら、頻度の高い 4 つの記録漏れから当たります(このほか、レジの取り分け・繰入や集金の持ち出し・返却も理論値に 含まれます)。理論値はシステムが自動で計算するので、実査との差から「いくら足りない/多い」を 見て当たりをつけられます。
- 準備金:朝の釣り銭を正しく登録したか。
- 現金売上:現金で受けた売上を計上し漏れていないか。
- 回収:得意先からの現金回収を入力したか。
- 支払:仕入・経費の現金支払を入力したか。
毎日締めるほど差異は小さくなる
レジ締め(現金実査)で、理論値と実査を突き合わせます。その日のうちに締めれば、差異が出てもまだ記憶が新しく、原因を特定しやすい。後日まとめて数えると、どの取引で ずれたのかが分からなくなります。締めを日次にする考え方は締め業務を月末に集中させない設計でも扱っています。
締めを確定すると、その日の現金は固定される
レジ締めを確定すると、その日の現金取引は締め後に後から足せなくなります。締めたあとに 現金の売上・回収を差し込めてしまうと、いったん合わせた差異が崩れて、あとから記録を検証できなくなる ためです。返金のように現金を戻す場面は、マイナスで記録して残し、 あとから数字をこっそり書き換えない運用にします。この「確定したら固定」があることで、 締めた日の現金は後から動かない確かな記録になります。
複数レジがあるときは全レジを締める
レジが複数ある店舗でも、考え方は変わりません。各レジをそれぞれ締めて実査と突き合わせ、 その日の現金を確定させます。日次の締めは、その日の全レジが締まっている状態を積み上げて いくことになります。なお、事務所で扱う現金経費(現金でのその他支払)は金銭照合表で 一覧できますが、事務所はレジのような実査・差異・締めの対象ではありません。この記事が 扱うのは、あくまでレジの現金を締めるところです。

差異ゼロそのものが目的ではない
毎日締めていても、数え間違いや小銭の端数で小さな差異はときどき出ます。大事なのは、 差異をその日のうちに把握して、原因の当たりをつけておくことです。金額が 小さく、原因も見当がつくなら、無理に合わせ込むより記録して次に活かすほうが健全です。 逆に、同じ方向の差異が続く・金額が大きい、というときは記録の抜けや運用の問題を疑う サインになります。差異を毎日見ていること自体が、そのサインに早く気づく仕組みです。
まとめ
現金の差異は「気をつける」より「式で切り分ける+毎日締める」で小さくできます。準備金・ 現金売上・回収・支払を漏れなく記録し、その日のうちに実査と突き合わせるのが近道です。
Sabaku ではどうなるか
Sabaku はレジの現金実査を画面で入力し、その日の理論値と突き合わせて差異を出します。転記を挟まないので、現金の締めの差異をその日のうちに把握して原因の当たりをつけられます。
レジ締め(現金実査)の画面を見るよくある質問
Q. レジの現金が合わない主な原因は何ですか?
A. 理論値を作る 8 項目(+準備金/+現金売上/+回収/−支払/−取り分け/+繰入/−持ち出し/+返却)のどれかが記録から漏れていることです。多いのは、朝の準備金の登録漏れ、現金で受けた売上の計上漏れ、得意先からの現金回収の入力漏れ、仕入・経費の現金支払の入力漏れの 4 つ。差異=実査−理論値なので、金額の大きさからどの取引が抜けていそうかの当たりもつけられます。
Q. 差異が出たら何から確認すればいいですか?
A. 「実査−理論値」で差異が出たら、まず準備金・現金売上・回収・支払の記録を確認します(このほか取り分け・繰入なども理論値に含まれます)。準備金の登録漏れや、現金売上・回収・支払の入力漏れが典型的な原因です。
Q. 毎日締めないとだめですか?
A. 後日まとめて数えると、どの取引でずれたか分からなくなります。その日のうちに実査と突き合わせると、原因を特定しやすくなります。