この記事は、水産仲卸の現場で使われている販売管理システム Sabaku の開発チームが、実際の導入・運用をもとにまとめています。
この記事の要点
- 情報漏えいの原因は外からの攻撃だけではない。アカウントの共有、辞めた人のアカウントの放置、FAX・メールの誤送信など、社内の使い方からも起きる。
- 対策は「社内の使い方」と「販売管理システムの提供元の体制」の2つに分けて点検すると、抜けが見つかりやすい。
- 社内では、担当者ごとのアカウント、役割に合わせた権限、退職時の停止、送り先と書き出しの確認を習慣にする。
- 提供元には、会社ごとのデータの区別・暗号化・バックアップの復元確認・操作の記録・弱点の点検・解約時のデータの扱いを質問する。
仲卸の販売管理システムには、取引先の名前や連絡先、単価、売上といった、外に出ると困る データが集まっています。情報漏えいを防ぐには、高価な仕組みを入れる前に、社内の使い方と、システムの提供元の体制の両方を、決まった項目で点検するのが近道です。次の12項目を、年に一度と、人の出入りがあったときに見直すと抜けが減ります。
情報漏えいは、外からの攻撃と社内の使い方の両方から起きる
IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ10大脅威 2026(組織編)では、1位がランサム攻撃による被害、2位がサプライチェーンや委託先を狙った攻撃でした。 7位には内部不正による情報漏えい等が入っています。つまり、外からの攻撃に備えるだけでなく、 データを預ける委託先(クラウドの提供元を含む)の体制と、社内の人の使い方の両方を見る必要があります。
仲卸の現場でとくに起きやすいのは、悪意のない「うっかり」です。事務所のパソコンで同じ アカウントを何人も使い回している、辞めた人のアカウントが残ったままになっている、 請求書や納品書を FAX で送る相手を取り違える、といった形です。
情報漏えいを防ぐ4つの観点
アカウントを分ける
担当者ごとに分けて共有しない。辞めた日に止める。
見られる範囲を絞る
役割に合わせて、必要な画面・データだけにする。
送り先・持ち出しを確かめる
FAX・メールは登録した宛先から。書き出しは必要な人だけ。
提供元の体制を聞く
暗号化・バックアップの復元確認・記録・弱点の点検・解約時の扱い。
社内の使い方で守る6項目
まずは社内の使い方です。どれも費用をかけずに始められ、効果が出やすい項目です。
- ① 担当者ごとにアカウントを分け、共有しない:誰が何をしたかが分からないと、漏えいに気づくのも原因を調べるのも遅れます。
- ② 役割に合わせて、見られる範囲を絞る:営業の担当者は自分の日報だけ、のように、仕事に必要な画面とデータだけにします。
- ③ 退職・異動のその日に、アカウントを止める:辞めた人のアカウントが残っていると、外から使われる入口になります。
- ④ パスワードを使い回さない・貼り出さない:ほかのサービスと同じパスワードや、画面の横に貼ったメモは避けます。
- ⑤ FAX・メールは登録した宛先から送り、送る前に確かめる:番号や宛先を毎回手で打つと、取り違えが起きやすくなります。
- ⑥ データの書き出しと端末の持ち出しにルールを決める:CSV や Excel への書き出しは必要な人に限り、スマホやノートパソコンには画面ロックをかけます。
販売管理システムの提供元に確認する6項目
クラウドの販売管理システムでは、データを守る仕組みの多くを提供元が担います。契約前や 見直しのときに、次の6つを質問して、具体的に答えられるかを確かめます。
- ⑦ 会社ごとのデータの区別:同じシステムを使うほかの会社に、自社のデータが見えない仕組みになっているか。
- ⑧ 通信と保管データの暗号化:画面とサーバーの間の通信と、保管しているデータの両方が暗号化されているか。
- ⑨ バックアップと復元の確認:自動でバックアップを取っているか。取るだけでなく、実際に戻せるかを確かめているか。
- ⑩ ログインの制限と操作の記録:パスワードを何度も試す不正なログインを止める仕組みや、大事な操作の記録があるか。
- ⑪ 弱点の点検と報告の窓口:使っている部品の弱点(脆弱性)を点検しているか。弱点を見つけた人が報告できる窓口があるか。
- ⑫ 解約時のデータの扱い:解約するとき、自社のデータを書き出して受け取れるか。受け渡しの方法が決まっているか。
提供元の回答は、「対策しています」の一言ではなく、何をしているかを具体的に聞くのがポイントです。 クラウドそのものへの不安(自社サーバのほうが安全か、障害で止まらないか)はSaaS販売管理は不安?仲卸が確認するセキュリティの要点で扱っています。
チェックリストは、年に一度と人の出入りのときに見直す
一度点検して終わりにせず、年に一度と、人が入ったり辞めたりしたときに見直すと、 アカウントの残りや権限の付けすぎに気づけます。社内全体の点検には、IPA の中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版に付いている「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」も使えます。第4.0版では 「バックアップを取ろう!」が基本の対策に加わりました。販売管理システムの選び方全体は水産仲卸の販売管理システムの選び方にまとめています。
Sabaku ではどうなるか
Sabaku はアカウントが何人でも月額が変わらない定額なので、担当者ごとにアカウントを分けて共有をなくせます。営業の方は日報だけを見る、といった閲覧専用の役割があり、辞めた方のアカウントだけを削除できます。提供元としての取り組みは、セキュリティのページにまとめています。
Sabaku のデータの守り方を見るよくある質問
Q. 情報漏えい対策は、何から始めればいいですか?
A. 費用をかけずにすぐできるのは、アカウントの共有をやめて担当者ごとに分けることと、辞めた人のアカウントを止めることです。そのうえで、役割に合わせて見られる範囲を絞り、FAX・メールの送り先の確認を習慣にします。社内全体の点検には、IPA の「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」も使えます。
Q. クラウドの販売管理システムに替えると、情報漏えいの心配は増えますか?
A. 一概に増えるとは言えません。クラウドでは、暗号化やバックアップ、弱点の点検などを提供元が担います。大切なのは、社内の使い方と提供元の体制の両方を点検することです。提供元には、会社ごとのデータの区別・暗号化・バックアップの復元確認・操作の記録・解約時のデータの扱いを具体的に質問します。
Q. 提供元に確認するとき、どんな聞き方をすればいいですか?
A. 「セキュリティは大丈夫ですか」ではなく、「ほかの会社に自社のデータが見えない仕組みはどうなっていますか」「バックアップから実際に戻せるかを確かめていますか」のように、項目ごとに具体的に聞きます。何をしているかを具体的に答えられる提供元のほうが、安心して任せられます。