この記事は、水産仲卸の現場で使われている販売管理システム Sabaku の開発チームが、実際の導入・運用をもとにまとめています。
この記事の要点
- 水産の在庫管理は、売れ残り(残品)を廃棄で流さず「在庫として数で持つ」ことから始まる。
- 理論在庫と実在庫の差(棚卸差異)を重量・数量で見て、廃棄ロスを日次で振り返る。
- 鮮魚は当日で締める前提。翌日繰りにせず、その日の在庫・残品を確定できるかが要件。
- 汎用の在庫管理システムは賞味期限や大量ロットの倉庫向けが多く、鮮魚の日次の残品運用とはずれる。
水産・鮮魚の在庫管理は、売れ残り(残品)を「その日の廃棄」で片づけず、在庫として数で持ち、 棚卸差異と廃棄ロスを日次で見えるようにすることが要点です。鮮魚は日持ちせず当日で締めるため、 月末にまとめて数える汎用の在庫管理では実態に合いません。何を満たせば水産の現場で使えるのかを、 仲卸の一日の流れに沿って見ます。
水産の在庫管理でおさえる4点
水産の在庫管理で確認したいのは、次の4点です。汎用の在庫管理システムでは弱くなりがちな、 鮮魚に固有の運用がここに集まります。
水産の在庫管理でおさえる4点
残品を数で持つ
売れ残りを廃棄扱いにせず、在庫として数量で記録する。
棚卸差異を見る
理論在庫と実在庫の差(=ロス)を重量・数量で把握する。
廃棄ロスの見える化
いつ・何が・どれだけ捨てられたかを日次で残して振り返る。
当日で締める
鮮魚は翌日繰りにせず、その日の在庫・残品を確定する。
残品を「廃棄」でなく「在庫」として数で持つ
最初の分かれ目は、売れ残りを廃棄として消すのではなく、在庫として数量で記録できるかです。 数で残さないと、どれだけ余ってどれだけ捨てたのかが後から追えず、翌日の仕入・値付けの判断材料に なりません。残品を数で持てば、在庫と廃棄ロスが同じ基準で並ぶ数字になります。
棚卸差異で「見えないロス」を数字にする
次に見るのは、理論在庫(あるはずの数)と実在庫(実際に数えた数)の差=棚卸差異です。差は 数え間違い・記録漏れ・見えない廃棄のどれかで、放っておくと利益を静かに削ります。差を重量・ 数量で符号つきで出せると、どの商品でロスが出ているかを絞り込めます。
| 観点 | 汎用の在庫管理でありがちな状態 | 水産の在庫管理で必要なこと |
|---|---|---|
| 在庫の持ち方 | 汎用の在庫管理でありがちな状態入出庫のロット・期限管理が前提で、日々の残品は対象外。 | 水産の在庫管理で必要なことその日の残品を在庫として数で記録できる。 |
| 差異の把握 | 汎用の在庫管理でありがちな状態定期棚卸で年数回。ずれても原因を追えない。 | 水産の在庫管理で必要なこと理論在庫と実在庫の差(棚卸差異)を重量・数量で出せる。 |
| 廃棄ロス | 汎用の在庫管理でありがちな状態廃棄は在庫と別管理で、いつ・何を捨てたかが残らない。 | 水産の在庫管理で必要なこと廃棄ロスを日次で残し、商品別に振り返れる。 |
| 締めの単位 | 汎用の在庫管理でありがちな状態月次前提で、当日の在庫確定ができない。 | 水産の在庫管理で必要なこと鮮魚は当日で締め、その日の在庫・残品を確定できる。 |
「在庫管理システム」を選ぶときに確認すること
水産で在庫管理システムを選ぶなら、倉庫向けの機能量より「鮮魚の日次の残品運用に合うか」で見ると選択を誤りにくくなります。次の順で確かめると迷いません。
- 残品をその日のうちに数量で入力できるか(廃棄扱いに流していないか)。
- 理論在庫と実在庫の差(棚卸差異)を重量・数量で出せるか。
- 廃棄ロスを日次で残し、商品別に振り返れるか。
- 在庫の締めが当日単位か(月次前提で当日確定できない設計になっていないか)。
- 在庫が売上・仕入と同じ仕組みの中にあり、二重入力にならないか。
在庫の数字を仕入・値付けに返す
在庫と廃棄ロスが数で残ると、翌日の仕入や値付けの判断に返せます。よく余る商品は仕入を控える、 傷みやすい商品は早めに売り切る値付けにする——といった対応が、勘ではなく実際の残り方から 決められます。日次で振り返る習慣があると、季節や曜日ごとの余りぐせにも気づきやすくなります。 在庫管理は「数えて終わり」ではなく、次の日の仕入・値付けを軽くするための材料になります。
廃棄ロスの見方そのものは残品入力で廃棄ロスを見える化する(棚卸差異の見方)で、選定全体の枠組みは水産仲卸の販売管理システムの選び方でも扱っています。
Sabaku ではどうなるか
Sabaku は残品を在庫として数で記録し、棚卸差異(理論在庫と実在庫の差)と廃棄ロスを日次で見える化できます。在庫は売上・仕入と同じ仕組みの中にあるため、二重入力になりません。※ロット・賞味期限を軸にした倉庫管理(WMS)ではありません。
棚卸差異・廃棄入力の画面を見るよくある質問
Q. 水産の在庫管理システムとは、何を指しますか?
A. 売れ残り(残品)を在庫として数量で記録し、理論在庫と実在庫の差(棚卸差異)や廃棄ロスを日次で把握できる仕組みを指します。ロットや賞味期限を軸にした倉庫向けの在庫管理とは異なり、鮮魚のその日の残品運用に合わせている点が特徴です。
Q. 棚卸差異とは何ですか?なぜ見るのですか?
A. 棚卸差異は、あるはずの数(理論在庫)と実際に数えた数(実在庫)の差です。差は数え間違い・記録漏れ・見えない廃棄のいずれかで、放置すると利益を静かに削ります。重量・数量で出せると、どの商品でロスが出ているかを絞り込めます。
Q. 汎用の在庫管理システムで代用できますか。何を確認すべきですか?
A. 残品をその日のうちに数量で入力できるか、棚卸差異を重量・数量で出せるか、廃棄ロスを日次で残せるか、在庫の締めが当日単位か——この4点が標準機能で扱えるかを確認してください。倉庫向けのロット・期限管理が前提の製品は、鮮魚の日次運用に合わないことがあります。